【名曲名盤】ウルフルズ『バンザイ』
それまで業界人・マニアに受けていたウルフルズというバンドを聞いたのも、このアルバムが最初であった。ベタベタの大阪テイスト。こてこての引用。ロックファンなら「暴動チャイル」のネイミングには必ずニヤリとさせられるはず。「歯竹強」ことトータス松本の分かりやす~い暑苦しさが、ステレオタイプの「大阪」にピッタリだった。遊び心などというヤワなものではなく、「なにが何でもうけてやる」という曲作り。ファンク系からビーチボーイズばりのサーフィンサウンド、しっかりした音作りがしつこいまでの歌詞をガッチリと離さない。流石、伊藤銀次プロデュースといえるだろう。しかし、「バンザイ~好きでよかった~」や「ガッツだぜ!!」の爆裂パワーに隠された、「泣きたくないのに」というバラードこそ彼らウルフルズの神髄であり、大阪系アーティストの正統な継承者としての証明でもある。
今回10年ぶりにアルバム全体を通して聞いた。関西から東京に逃げ帰った私に今でも「良い処やで」と呼びかけてくる。「泣きたくないのに涙が僕にせめてくる」
ウルフルズ『バンザイ』 1996/01/24 東芝EMI